西日本一周 その5
先日、ゼミの先生と焼き肉に行った時にふと思ったことがありまして。
それは自分のこれまでの出来事や経験がほんの少し、何かが違っていたら果たして今と同じような状態になっているのか?という事です。
もし、僕が今のゼミに入っていなかったら。
きっと写真を通して人に感情を伝える事に本気で取り組んではいなかったでしょう。
もし、僕がこの大学に入っていなかったら。
きっとバイクで日本一周などと言う馬鹿げた夢を抱く事すらなかったでしょう。
あれこれ考えた所でどうにかなるモンじゃあないという意味では、歴史に「if」なんてものはない、という言葉とよく似ているものですね。
自分自身の人生という『歴史』を全て偶然という言葉で片付けるには少し出来すぎているような気がします。思い通りにうまく行かないことも腐るほどありましたが、後から思えばそれがきっかけになって今の自分を作り上げた重要な要素になったりしました。
じゃあ僕の人生は全て必然の結果かと言えば、多分それも違うのでしょう。
何が言いたいかというと、これまでの自分の人生を振り返って思えば『なんかなるようになったなあ』という事です。時には偶然の出会いが、時には必然の別れが、結果的には今の自分を作り上げてきました。そして今後の僕の人生においてもそれは続いていくのでしょう。そう考えると僕は自分の周りにいる人にもう少し感謝して生きた方がいいのかもしれません。
前置きはこれくらいにして、5日目の朝は無人駅で目覚めた後にもう一度海沿いの神社に訪れました。
平日の朝早くという事もあって人もまばらの神社をゆっくり散策していると、ふとした疑問が浮かびました。
『この神社の賽銭箱はどこにあるのだろう』と
駐車場から歩いて一番遠い海側の鳥居付近を捜しても見つからなかったので、引き返して入口へ戻ると。
なんてことはありませんでした。この神社の正しい参拝口は海側から山を登るみたいで、最後の鳥居の扁額に賽銭箱が添えつけられていました。
じゃあさっそくお賽銭を入れてお祈りしようとしますが、ここで一つ問題発生。
写真見たらわかると思うんですけどこれ鳥居自体が大体3mくらいありまして、しかもまあまあサイズ小さいんですよ賽銭箱自体。
ようするにこの神社でお祈りをしようと思った場合は、まずお賽銭を大きく振りかぶって山なりの軌道で投げ入れて、ちょうどバスケットボールのような感じでゴールを決めなければならないのです。
さらに素敵なポイントとしてこの鳥居周辺の地面は一面草藪になっており、万が一狙いが外れて賽銭が落っこちてもそれを見つけるのがほぼ不可能なのです。
結論から書くと、僕はここで220円を失った挙句一円も入らないまま惨敗を喫しました。クソです。
絶対リベンジしてやると固い決意を胸に神社を後にして、海沿いの快走路を滑るように走っていきます。
30分くらい走ると見えてきました、この日一番の景色『角島大橋』です。
マジで沖縄レベルに透明な海とそこにかかる一本の橋
否応なく気分は一気に最高潮です。
これ橋自体結構長くて2㎞ちょっとあるんですが、渡っている時なんかもう世界で一番自由なんじゃね?ってずっと思ってました。
3往復くらいしましたね。
青い空と海には青いバイクが何よりも似合うと自負しています。
角島に渡ると人でにぎわっていた橋とは違い、人のいない静かな海沿いの道がぐるっと島を一周するように続いていました。時折速度を落として水面をのぞき込むと、普通に海底が見えるくらい透明です。
この日イチのハイライトでした。僕の中で日本海のイメージはこの日を境にがらりと変わりましたね。いやあやっぱり自分の目で確かめてみるのっていいもんですね。
本州最西端の道の駅豊北で休憩
さすがに日が昇ってくるとクソ暑い日差しに晒されるのでこうやってこまめに休憩を取らないとぶっ倒れてしまいます
休憩を終えていよいよ九州へ
下関と北九州を結ぶ道は基本的にこの写真の200円で通れる関門トンネルと500円の関門橋の二つありますが、車はともかくバイクは絶対に関門橋を使った方がマシです。
このトンネル基本的にめちゃくちゃ渋滞してるんですよ。料金所が現金払いだから。
しかもすり抜け出来ないほど狭いので時速20㎞ほどでのろのろ進んでいくんですが、バイクだとマジで排気ガスで頭痛くなるんですよ。車専用です、このトンネルは。
何とか関門トンネルを抜けて九州に上陸しましたが、とりあえず頭痛いので門司港でまた休憩を取る事に。
なかなかいい感じですね。まあぶっちゃけた話港町は神戸も横浜も大体こんな感じの景色ですが、まあそれでも異国情緒というものは感じられました。
門司港を後にした僕は次の目的地へ向かいました。
ここ福岡には平尾台というカルスト台地の景勝地がありまして、山口の秋吉台と合わせて九州のカルスト台地も走ってやろうと思っていたのです。
んで実際に行ってみると
ふーん、えっこれだけ?って感じでした。
百歩譲って景色がイマイチなのはまだ良しとしましょう。何が腹立つって市街地が近いという事もあってか基本的に平尾台の道は全て速度超過防止用の凸凹が備え付けられており、車ならともかく荷物満載のバイクだとマジで危ないんですよ。
景色はイマイチ、道も最悪とあんまりいい思い出はなかった平尾台。
まあそんなもんです
気を取り直して、次行きましょう
太宰府天満宮です。学問の神様として菅原道真を祀っているこの神社で僕は今学期の単位が取れていますようにとお願いして3円を投げ込んだところ、3日後の成績発表で見事必修の授業を落単。
二度と天満宮行かねぇ、そう固く心に誓いました。
あんまり福岡に縁がないんでしょうねえ、この旅を通して一番印象が薄かったのが福岡です。
この後は吉野家で牛丼をかきこみ適当な道の駅を見つけて寝ようとベンチに寝そべっていたら、暴走族が20人くらい単車に乗ってきて駐車場で祭りを始めたのでそそくさと逃げて人気のない無人駅に避難してやっと寝つけました。
『やっぱり政令指定都市はあんまり好きじゃないなあ』
自分の旅におけるスタンスを改めて再確認した一日でした。