日本一周 その12
仕事を始めてみるとこれがまた思った以上に時間と体力が奪われていくもので、今更ながらもっと早くブログを書いておけばよかったと後悔していたりします。この調子だと北海道の話を書く頃には定年が来るかもしれません。
目覚めの朝です。
桜島を一周していると道中で案内看板が立っていました。
『この左、黒神埋没鳥居』との看板に興味を惹かれ、立ち寄ってみると
鳥居が埋まっていました。
元々3mあったこの鳥居は大昔の噴火で降り注いだ火山灰によってこのような姿に変貌を遂げたとの事です。
参道を歩くとなんかふかふかしてましたね、不思議な感触。
さて、厳密には12日目はこれで終わりなんですね。
この後友人の家に行ってモバイルバッテリーを充電してもらって、そのまま家に泊めてもらえるかと思いきや
『じゃあ松下はこのまま野宿で明日先生と三人で合流ね』
と言い放たれて無情にも玄関の扉を締め切られてしまい、そのままとぼとぼと近くの電車の駅で野宿をして終わるという何ともつまらない一日だったので13日目と纏める事にしました。
ちなみにこぼれ話をしておくと、この日の夜に駅前のベンチでぼけーっとしてたんですが、ヤンキー二人組と全身プーマジャージの女三人組が集まってきまして
こんな夜更けに何の集まりなのか話を聞いてみると
『こないだ町の祭りで舐めた口きいてきた男呼び出してこれからタイマンするんすよ』
という何とも薩摩勇人を彷彿とさせる至言が飛び出して、僕が唖然としていると
ママチャリに乗った高校生ほどの青年がホントに現れまして。
一体どんな壮絶な戦いがこれから始まるのか内心ドキドキしながら静観していると
ヤンキー二人がママチャリ青年を囲んで15秒に一発ケリを叩き込みながら謝罪の言葉を引き出すという、全く新しい薩摩の戦いを見せられて夜が終わりました。
クソみたいな思い出
そんなこんなでいよいよ合流の日です、友人の家にバイクを止めて庭先で待っているとシルバーのレンタカーに乗った先生が現れました。
車を降りた瞬間のあの満面のニヤケ顔を僕は未だに覚えています。
『じゃあ、行こうか。』というねぎらいの欠片もない第一声を聞き流しながら、僕は車の後部座席に乗り込んで漸くこの旅の目的であるゼミが始まりました。
最初の目的地、酒造会社です。左のガタイのいい男がこのクレイジーなゼミを強行した高知大学地域協働学部は石筒覚です。
実際にお酒を造っているラインなども見学しましたが、その辺は企業秘密との事で写真NGでした。感想としてはもやしもんに出てくるような酒蔵ではなくてガチの工場みたいな感じでしたね。最新システムで醸造されているお酒の香りは、昔ながらの蔵造のお酒とさほど大差なく、ああ酒臭いなあという記憶しかないです。
これね、約束の覚飯
颯爽と三人分の伝票を持ってレジに向かう石筒覚
この姿を見るために僕はこの二週間クソみたいな野宿の旅を続けてきたのです。
おなかを満たした後は次の目的地へ
なんか日本一大きな鈴が祀られている神社らしいです。
鈴を見てテンションが上がる51歳を見た僕は珍しいものを見たなあと思いました。
石筒覚に鈴をくぐれと命令され、必死で這いずりながら鈴をくぐる僕です。
くぐり終わった後、覚はニチャアとした笑いを浮かべていました。
お次は武家屋敷です。
出水市の一角が丸ごと屋敷から通りまで江戸時代の武家屋敷区域として保存されています。
こんな感じですね、特にこれといって感想はありません。めちゃくちゃ眠たかった記憶があるだけですかね。
覚とツーショットを撮りました。
次、いつだったかの記事で話した心霊スポット公園を覚えてますかね
車内で移動中に僕がその話をぶり返したら案の定覚が「なんだねその面白そうな場所は」とか言い出して真っ昼間の心霊スポット公園に行く事になりました。
まあ確かに見晴らしはよかったですね。遠くの方に九州新幹線が見えます。
ただ引っかかるのはここが心霊スポット公園だという点のみです。
公園でごろごろしていると、多分退屈だったんでしょうね
覚が急に「おい、何か面白い事をやれ」などと言う無茶ぶりを振ってきました
別に無視してもよかったんですが、まあ立場的に逆らうと単位が危ういので従わざるを得ませんでした。悲しき大学生の定めです
これね、結構頑張ったんですよ。
リクエストした当人がおれそっちのけで背後の少年をフィーチャリングしてるのがいいセンスしてると思いました。
午後の休息をとるためにカフェテラスに行きました。
友人おすすめの鹿児島名物しろくまアイスとやらが有名らしいので楽しみでした。
中はこんな感じです。THE・カフェって感じですね。
これが噂のしろくまです。
具だくさんの豪華なかき氷ですね。
ただやけにデカいんですよこれ。手持ちの5インチスマホと比べても余裕でしろくまの方がデカい。
三人で黙々と氷の山を崩していると三時のお知らせが店内に鳴り響きました。
一向に減らないしろくまが時間の流れを一層穏やかにしていきます。
ああ、ちなみに味の方は文句なしに美味しかったですよ。ふんわりとしたパウダースノーの様な口どけの氷と豪華なトッピングが何とも言えない甘美な味わいを生み出していました。ただ異様にデカいという点のみが唯一の欠点でした。
最後の方三人とも無言で溶けかけの氷をむさぼってました。
そろそろ日も傾き始め、謎のゼミ旅行もいよいよ終焉です
ほんとにどこからこんな情報を見つけ出してくるのか
出水市の畑のど真ん中にある防空壕跡を眺めてずっとニヤニヤしてました。
多分好奇心が服を着て歩いてるような人間なんでしょうね
いよいよお別れ、覚のレンタカーに乗って友人の家まで送ってもらいました。
聞くと覚は明日水俣で学会の発表があるそうでこれから水俣市のビジネスホテルで泊まるそう。
ん?ゼミ旅行とか言いながら実際出張の前泊の暇つぶしに付き合わされただけじゃね?
などと言わなかったのは恐らくこの旅で僕が少なからず成長した所だと思っています。
鹿児島の夕日
この日をもってこの旅での目的を達成した訳で、ここからは言ってしまえば帰り道です。
どことなく物悲しいのは多分この夕日のせいでしょう。
友人ともお別れして一人バイクにまたがり延々と走り続けました。
無料高速を通って、ひなびた温泉街の中心を突っ切って、熊本に入ったらまっすぐ東に進みます。高千穂に置き去りにしてきたモバイルバッテリーを回収するためにわざわざ九州を8の字に回る羽目になったのは、まあ結果的には悪くなかったのかもしれません。
ただ延々と帰り道を走り続けるのもまあ寂しいもんですからね。
通潤橋、人っ子一人いませんでした。
いい加減寒気と眠気が限界に達した夜12時半ごろにやっと高千穂に到着。
倒れ込むようにベンチにもたれかかり、息を深く吸い込んで深呼吸をします。
緩くなった瞼を落とし、脳裏に浮かぶのは無駄に50過ぎても無駄にテンションの高い石筒覚のニチャアとした笑顔
僕はくだらない事ばっか考えてるとすぐ眠れるので、多分旅してるときの夜は毎晩どうでもいい事考えてるんでしょうね。