西日本一周 その4

 

最近就活でよく自分のやってきた事を振り返る事がありますが、自分の感情や価値観を明確に何かしらの媒体で表すというのは結構楽しいものです。

そういう意味では企業に送り付けるエントリーシートも、深夜テンションで書き殴るこのブログもそう内容に大差はありません。とどのつまり、100人が無難に受け取るような伝え方より、たった1人でも僕の感情に共鳴してくれる伝え方しかしたくないし、それ以外できないんです。

不器用で偏屈な生き方と言えばまあその通りですね。でも少なくとも今の自分はこの生き方に「納得」する事が出来ます。

 

 

 

 

 

 

 

道の駅世羅で目覚めた朝はやっぱり晴れ渡る青空でした。

世羅には西日本でも有数のひまわり畑を持つ世羅高原農場があります。やっぱり夏と言えばひまわり畑なんですよね。太陽に向かって一斉に顔を向けて咲くひまわりを見るとあ~夏だな!って感じで。

 

 

荷物をまとめて道の駅を出るとわずか数分で世羅高原農場に到着しました。

砂地の臨時駐車場に恐る恐るバイクを止めて受付ゲートに向かうと、係員が「今はもうピークを過ぎたので料金が二割引きとなります」との事。

これは来る時期をミスったかな?と思いながらテクテク歩いてると。

 

 

 

うーん、どう見てもこれでピークじゃないとは信じられませんでした。

小さい頃から毎年夏はあちこちひまわり畑を見に行っていますが、見渡す限り一面のひまわり畑というのは西日本ではここ、世羅高原農場にしかないと思っています。

朝一番に訪れたこともあって、入園客はほとんどいませんでした。

 

どうでもいい話ですが、このひまわりから採れるひまわりの種。僕はこれが結構好きなんですよ。酒のツマミなんかにとてもよく合います。

そんな取り留めのないことを考えながら空に浮かぶ雲を眺めていました。ずっと夏休みが続けばいつまでも此処で風に揺れる花々を眺めていられるのですが、生憎この旅の目的はゼミの先生に飯をおごって貰う事です。太陽がいよいよギラついて辺りが賑わいだした午前10時、花園を後に一路西へと向かいます。

 

 

たぶんこの区間がこの旅で一番きつかった行程でしたね。10時に世羅を出て、目的地の山口県秋吉台に着いたのが17時だったから、丸7時間ずーっとバイクに乗りっぱなしでした。もうそれだけでもまあまあだるいんですが、もっと根本的な問題として、世羅から山口の美祢市まで直通の一般道が無いんですよ。世羅町美祢市中国山地のど真ん中にあるので。

高速を使わずに行こうとするならば一旦瀬戸内側に南下してそのまま2号線を走るか、縦に中国山地を貫く国道と、それを結ぶ過酷な山道をジグザグに乗り継いで行くしかありません。2号線を使うとまず渋滞で秋吉台に着くころには日が暮れてしまっているでしょうから、山道を縫って行く方を採ったのです。

 

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ざっとこんな道のりでした。途中何回か意識が飛びそうになったのもいい思い出です。まあ次はもう二度と走りませんけど。

とまあそんな苦しい思いをしてようやくたどり着いた秋吉台

日本三大カルストの一つに数えられるこの場所。どんなもんやと思って行ってみると。

 

 

 

 

超サイコーでした。いや本当に走ってて気持ちよかったですね。見渡す限り草原の中を風を切って駆け抜けていくと、それまでのクソみたいな道のりで溜まったフラストレーションが一気に溶けて行きました。

 

 

夕方に差し掛かる時間という事もあって、他に車もおらず僕の貸し切り状態で本当に楽しかったです。個人的には四国カルストと並ぶほど絶景スポットじゃないでしょうか。ドライブの楽しさだけで言えば四国カルストよりも上だと思います。三大カルストの名前は伊達じゃありませんでした。

絶景ツーリングで一気に気力を回復した後は、今日の最後を締めくくるにふさわしい場所へ向かいます。

 

秋吉台から日本海へ30分ほど走ると到着しました。元乃隅稲成神社です。

 

 

 

 夕日の時間という事もあって結構賑わっていましたが、海に沈む夕日と立ち並ぶ紅い鳥居はまさに息を呑むような美しさでした。

 

個人的に日本海のイメージとして、常に雲がかかってジメジメしてる印象がありましたが、少なくとも今回の旅では常に晴れ渡っていました。やっぱり実際に自分の目で確かめてみるのって大事ですね。

 

 

途中ちょうどいい公園があったので、ご飯を炊いてこの日初の食事です。夕日が沈んだ後の青と赤のグラデーションは、一人旅の旅情をより一層感傷的なものに仕立て上げてくれます。

 

 

 

今日の宿です。なんかよく分からない電車の駅でした。

終電が過ぎた後にベンチにマットを敷いて今日撮った写真を見返していると、0時をまわったあたりに駅の灯りも全て消え、周りは完全な暗闇に包まれました。

 

なんだか一気に疲れが湧いてきたのでマットに寝転んで眠りに着こうとした時、ふと空を見ると

 

 

うーん、星空が眩しくて眠気も吹き飛びましたね。せっかくの素晴らしい夜を一人で味わうのも何だかもったいないと思い、鹿児島で合流する予定の友人に電話を掛けました。

まあとりとめのない旅の話をした記憶はありますが、今でもはっきりと覚えているのは、その友人に僕がいま誰もいない無人駅で一人で野宿をしていることを伝えると、唐突に故郷鹿児島の有名な心霊スポット兼自殺の名所の話を始めた事です。

さすがにこの時ばかりは驚きを通り越して感動を覚えましたね。普段あまり自分の事を話すことの無い友人でしたが、その時ばかりはやけに饒舌にその心霊スポットで誰それが焼身自殺をしたとか超具体的なエピソードをぶっこんだ話をしてくれました。

 

 

満天の星空の下で野宿をしながら遠く離れた友人に怪談を聞かされる経験というのは、なかなかシュールではありますが、それもまた旅の一興というものです。

友人に大まかな今後の予定と今のところ順調に進んでいる事を告げて電話を切ると、再び僕の周りを静寂と暗闇が包み込みました。星空にも次第に雲がかかってあれほどまばゆい光を放っていた星々もうっすらと霞んでしまっています。

 

自分の故郷の自殺スポットを野宿してる人に聞かせる友人の意外な一面と、そんなクレイジーな場所へ向かうために旅をしている自分はまあどこか似たようなところがあるのかもしれない。そんなことを考えながら、本州最後の夜はゆっくりと更けていきました。