旅の相棒の話 富士フィルム X-T10編

僕の旅には絶対に欠かすことのできない相棒と呼ぶべき物がいくつかあります。

その中でも今回は旅の時文字通り肌身離さず持ち歩いているカメラについて記事を書くことにしました。

 

元々あまり記憶力がよくない僕は旅に出た時に目で見た景色を忘れないために記録用として携帯で写真を撮っていましたが、いつの時からか美しい風景の写真を残すのが目的になっていきました。

そんな折、大学進学が決まり、合格祝いにと母から何か欲しいものを聞かれたときに僕は即答で「カメラが欲しい」と答えました。それが今の相棒との出会いです。

 

 

 

 

さて、カメラを新しく買うに当たって何のカメラを買うか僕はあまり迷うことなく今のカメラを買いました。

それがこの富士フィルム製のカメラ、XーT10 です

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2015年発売のこのカメラは買った当時はまだ新品が発売されていましたが今となっては型落ちもいいところでこれから新しくカメラを買う人がこの機種を手にすることはまずないでしょう。

そもそも当時富士フィルム自体カメラメーカーの中では影が薄い方だったので周りでこのカメラ、ひいてはこのメーカーを使っている人は一人もいませんでした。

じゃあなぜ僕がこのカメラを買うことになったのか、今回はそんなお話です

ちなみにこの記事におけるカメラ知識は2016年当時の僕の記憶と偏見で書かれているので最新の機種はこうだぞ!とか言われても知りません。

 

これを買った理由その1

APS-Cサイズのミラーレスカメラが欲しかったから

カメラに詳しくない人はなんのこっちゃと思うでしょう。僕も最初はそうでした。

一つずつ説明していくと

まずAPS-Cについてですが、これはカメラの映像素子の大きさを表す名前の一つです。デジタルカメラというものは昔のフィルムカメラのフィルムの代わりに光を感知するセンサーがレンズの内側に内蔵されていて、そこが光を感知することで写真を写すことができるのですがそこ大きさがメーカーや機種によってバラバラなのです。

一部特殊なモノを除けば今現在デジタルカメラにおいて主流のセンサーサイズはこの図のうちのどれかに当たります。

安いデジカメやスマートフォンでは1/2.3型、ちょっと高級なデジカメは1型、それ以上の大きさは大体レンズ交換式のカメラと思ってくれればいいです。

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 この図で言うとAPS-Cは二番目に大きい緑のところですね。

なんでこんなにたくさんセンサーの種類があるのかというと、センサーの大小でそれぞれメリット、デメリットがあるからです。

 

じゃあまず大きいセンサーのメリットとデメリットから

大きいセンサーのメリットは画質がいい、背景がよくボケる、高感度に強い(暗いところでも写真がザラザラしない)、こんなとこでしょうか。

反対にデメリットとしてはカメラ本体やレンズの肥大化、ピントのずれやすさ、基本レンズも本体も値段が高い、これがざっと思いつくデメリットです。

理由はめんどくさいので説明しません。本当にめんどくさいので。

 

じゃあ小さいセンサーのメリットとデメリットはというと、基本上の逆です。

カメラもレンズもコンパクトで、適当にとっても画面全体にピントが合い、お手軽に買える反面背景がぼかしにくかったり、暗いところでノイズが入ったりします。要するに日常で使いやすい代わりに写せるシーンの幅が制限されてしまいます。

ちなみにこの記事で言う画質という単語は撮れる風景の幅と捉えてください、昼の景色はもちろん夜景や夕景、人物写真や物撮りなどをまんべんなく撮れる事が僕にとっての画質の良さです。素数や高感度どうのこうのは個人的にはどうでもいいので。

 

ここでポイントなのは僕が欲しいカメラは基本的に全部の要素においてそこそこでよかったんです。そこそこの値段、大きさ、画質、使いやすさ、これを絶妙のバランスで兼ね備えているのが僕にとってはAPS-Cサイズのセンサーでした。

 

 

ハイ次、ミラーレスについてです。一般的にいいカメラというものを聞いた時、想像するのは大体こんな感じのカメラだと思います。

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このタイプは一眼レフといいます。

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僕が欲しかったミラーレスはこんな感じですね。

 

レンズ交換式のカメラは基本的に一眼レフとミラーレスがあります。

この二つは何が違うのかというと、機構面で言えば内部にミラー、つまり鏡があるかないかです。画質に関しては同じ大きさ同じ世代のセンサーを搭載している分にはほぼ変わりはないと言っていいです。

じゃあなんでミラーがあったりなかったりするのかというと、それにはオートフォーカス、つまり自動でピントを合わせる機能が深く関わってきます。

 

一眼レフもミラーレスもレンズを通して光が入ってくるのですが、そこからが大きく違います。

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一眼レフは上の図の左ですね、一眼レフに内蔵されているミラーは光を半分透過、半分反射するハーフミラーとその後ろに付いているサブミラーがあります。んでこれでシャッターを切るとバシャッと音を立ててこのミラーが跳ね上がりセンサーに光が届きます。

ミラ-レスはそのままセンサーに光が届きます。

なんでこんなややこしいミラーが仕込んであるのかというと、元々はオートフォーカスを使うためとファインダーで撮影対象を確認するためです。

デジタル全盛期の今でこそシャッター切った後すぐにその場で確認ができますが、フィルムの時代ではそんなことできませんでした。対象がちゃんと移っているかどうかを確認するためにはレンズから見える光をそのまま確認するのが一番正確です。また、オートフォーカス機能も当時はこのミラー構造でないとフォーカス用のセンサーと撮影者両方に光を届けられなかったというのがありました。

 

ざっと一眼レフの歴史について語ったところでメリットとデメリットの話です。

 

僕が考える一眼レフのメリットは、同じ価格のミラーレスに比べてAFが素早い、使えるレンズが多い、それくらいですかね。

AFが素早いのはミラーレスが撮影用センサーにAF機能を内蔵しているのに対し、一眼レフではフォーカス専用のセンサーが別で用意されています。そりゃあ高額なミラーレスは一眼レフと変わらない素早さ、精度でピントを合わせることができますが、一眼レフではそれよりはるかに安い価格で同等レベルのAFを使うことができます。

使えるレンズが多いのは、一言で言えば一眼レフの歴史が長いからです。ニコンもキャノンも国内の有名メーカーはフィルムの時代からこの一眼レフを製造してきました。各メーカーによってレンズを取り付けるマウントと呼ばれる部分があるのですが、どのメーカーも基本的にマウントのサイズは変わっていません。同じメーカーでマウントさえ同一であれば大昔のレンズでも使えるのです。これが使えるレンズが多い理由ですね。

 

じゃあデメリットですが、撮影結果がシャッターを切るまでわからない、デカい、画面の端でピントを合わせられない、こんなところです。

でかいのはミラーがあるからその分大きくなるんですね、まあしょうがないですが。

撮影結果がシャッターを切るまでわからないのはどういう事か、分かりやすく言えばスマホで写真を撮る時になんか明るさ変えたり色合いを変えたりして撮ったりするじゃないですか。それがシャッターを切るまでどんな風に映っているか分からないんです。

決してできないわけじゃないですよ。ホワイトバランス変えたり明るくしたり暗くしたり一通りできます。しかしそういった調整は撮影用センサーで行うもので、上の図の通り撮影者はあくまでレンズから入ってきた光をそのまま見ることしかできません。要するに実際の映像しか見れないわけで、そこに撮影者が何らかの調整を加えようとする場合、一眼レフでは撮って、ディスプレイで確認するという煩わしい工程を行うことになります。クソデメリットです。

ちなみに一眼レフでもあらかじめミラーを跳ね上げた状態でミラーレスの様にセンサーでフォーカスを合わせて撮る機能を使えばそういった効果を直に確認できますが、それならミラーレスの方が軽いしファインダーも使えるしあんまりメインでは使えません。

画面の端でピントが合わないのはシンプルにフォーカス用のセンサーが小さいからです。基本的に中心とその周りにしかオートフォーカスできません。画面いっぱいまでフォーカスが合う一眼レフは鬼のように高いです。

 

 

ミラーレスのメリットとデメリットも基本的にこの逆ですね、小さくて、各種調整がファインダーに反映されて、画面の端でもピントが合う反面、

一眼レフに比べて対して値段が安い訳でもなく、レンズは少ないし、フォーカスはクソザコ、こんなところです。

ただ僕の場合このデメリットはあまり気にならなかったのが大きいです。値段はまあ差し置くとして、風景写真専門で使う予定なので、フォーカスが遅くともまあピントが合えばそれでよかったし、レンズが少ないとはいえ長旅に二本も三本もレンズを持っていくのは無理なので普段使う一本さえあればよかったので。

まあほぼほぼメリットだけを享受できるので必然的にミラーレスになりました。

これを買った理由その2

富士フィルム以外の選択肢がなかった。

 ずいぶん大雑把で消極的な理由ですね、僕もそう思います。

でもしょうがないんです、本当にそれ以外の選択肢はなかったんですから。

APS-Cでミラーレスというもの自体がそもそも中途半端な分野という事もあり、基本的にはSONYCANON富士フィルムの三社しか継続して販売していません。

もともとSONYが先陣を切ったこの分野、2010年にNEXシリーズを販売してからしばらくはSONYの独壇場でした。

富士フィルムはいわば後追いで入ってきたメーカーで、ごく一部の変わり者くらいしか使っていませんでした。CANONもまあ似たようなもんでしょう。

ってなわけでAPS-Cミラーレス黎明期時点ではSONYの方が機種もレンズも圧倒的でした。

しかし僕がカメラを買った2016年の春の時点ではSONYはほとんどフルサイズに移行、キャノンは片手間に細々というような状況でした。そんな中富士フィルムだけが今後もAPS-Cのミラーレスをレンズ、カメラ共に開発し続けると発表したのでじゃあこれしかないなと思ったのが決め手です。色合いがどうこうとかあんまり考えてなかったですね。

 

 

まああと細かいことを言えばキットレンズが高性能だったり見た目が好みだったりとありましたが、まあバイクに比べればそんなに劇的な出会いというわけでもないですね。

こんな感じで適当に決まった僕の相棒、そんなお話でした。